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2011年3月

福島原発事故 首都圏住民の放射線被ばく(1)

一般住民の放射線被ばくは、大気中の放射性核種や宇宙線、地表面に沈着した放射性核種が放出する放射線を浴びることによる外部被ばく、大気中の放射性核種を呼吸により吸い込んだり、食物に付着したり、食物に取り込まれたりした放射性核種を食物とともに食べたり、放射性核種を含んだ水を飲むことにより被ばくする内部被ばくがある。

自分たちがどのくらい被ばくするのかについては、外部被ばくについては、空間放射線量率の値、内部被ばくについては、呼吸や食事によって摂取する、空気中の放射性核種の濃度や、食物、飲料水中の放射性核種の濃度を調べなければならない。

文部科学省が事故以来、各都道府県の測定データを公表している。↓事故に対する文部科学省の対応は今回は比較的早かった。

http://www.mext.go.jp/

千葉市にある日本分析センターのHPによれば、315日から大気中に放射性ヨウ素や放射性セシウムが検出されている。空間放射線量(外部被ばく)はそれに加えて放射性希ガスによるものだろう。
個々人の被ばくはそれほどでなくても、首都圏住民全体が受けた集団線量はかなりのものになるだろう。

日本分析センターは、千葉市で事故以来

空間放射線量率

大気中濃度

降下物濃度

を連続して測定し、測定データを公開↓しており、今後首都圏住民の放射線被ばく線量評価を詳細に評価するうえで役に立つだろう。

http://www.jcac.or.jp/fukushima.html

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福島原発 事故による放出放射能

福島原発の事故により大気中に放出された放射能については、フランスIRSNがいち早く試算結果を発表しています。

http://www.irsn.fr/EN/news/Documents/IRSN_fukushima-radioactivity-released-assessment-JP.pdf

これによれば、3月22日までに

・希ガス 2E18 ベクレル
・ヨウ素 2 E 17 ベクレル
・セシウム 3 E 16 ベクレル
・テルル 9 E 16 ベクレル

参考として、上記の放射性元素の値はチェルノブイリの事故の推定放出量の約10%
に相当しますが
、これは2011 年3 月22 日現在のデータに基づく最初の評価であるとの注釈があります。

またオーストリアの研究機関も同様な評価を行ったようです。

http://d.hatena.ne.jp/elm200/20110325/1301046196

これによれば放出された放射能はヨウ素についてチェルノブイリの20パーセント、セシウムについてはチェルノブイリの20から60パーセントとのこと。

いずれにしろ莫大な量の放射能が放出されたようです。我が国からの試算がまだでてこないのは、非常に残念です。

なお1ベクレルとは1秒間に放射線を1つだす放射能の量です。

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福島原発 放出放射能の大気拡散

フランスIRSN(放射線防護原子力安全研究所)が3月12日から3月23日までの放射性雲の拡散シュミレーションを報告しています。とてもわかりやすいアニメーションとなっています。毎日更新されていると思います。

日本語での解説が利用できます。遠距離対応モデルなのでそれほど精度の高いものではないと思いますが、だいたいはこのようなものでしょう。東京などでの観測値に合うように、福島原発からの放出放射能量を設定し、再度計算しているように思いますが詳細はわかりません。大気中濃度だけではなく、被ばく線量のシュミレーションも掲載されています。今回放射性雲の多くは太平洋に向かって流れていたのは誠に幸運としかいいようがありません。IRSNはフランスの国立研究所です。

http://www.irsn.fr/EN/news/Pages/201103_seism-in-japan.aspx

http://www.irsn.fr/FR/popup/Pages/animation_dispersion_rejets_19mars.aspx

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放射線の線量について

放射線の影響や線量のことは分かりにくいですね。分かりやすく解説してみます。


人体の各組織に対する放射線の影響は、放射線の種類やエネルギーによって異なるので、補正係数(放射線荷重係数)によって各組織への吸収線量を補正した線量が等価線量です。

実効線量は、組織の等価線量に放射線の確率的影響に対する組織の相対的な感受性を表す係数である組織荷重係数を乗じ、全身の組織について加え合わせたものです。

 そこで放射線防護の観点から、等価線量と実効線量という「防護量」が定義されていて、放射線防護の目的で使われています。
 しかし放射線被ばくによって人体が受ける影響の程度は、たとえ吸収線量が同じであっても、放射線の種類や組織の種類によって異なっています。たとえば筋肉と生殖腺では同じ放射線を受けても生殖腺のほうが、ずっと影響が大きいです。 放射線の人体に対する影響は、放射線が当たった組織にどれだけのエネルギーが吸収されるかによってきまってきます。これが吸収線量と呼ばれるものです。 放射線の影響には、やけど、脱毛、不妊などのようなしきい値のある確定的影響と、白血病やガンの発生、遺伝的な障害発生などのようなしきい値のない確率的影響があります。

実効線量=Σ(臓器や組織の等価線量×組織加重係数)


ちなみに甲状腺の組織加重係数は0.05です。生殖線は放射線の影響が大きいので、組織加重係数は0.2です。ただし国際放射線防護委員会(ICRP)は2007年の勧告では、甲状腺について0.04、生殖腺について0.08に変更しています。


人体が放射線を受けた時、その影響の現れ方は組織によって異なり、放射線に対する感受性は部位によって異なるので、全身に対する影響を総合して評価するための指標として、実効線量が使われています。

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福島原発 環境汚染(1)

福島原発の事故やその影響の概要が徐々に明らかになってきた。これは大事故だ。事故の影響は決して「無視できる」ものではない。日本国内に放射線の影響で人が住めない、住むべきでない地域が出現するだろう。

国の原子力安全委員会は重い腰を上げて、やっと「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」による被ばく線量試算結果を公表した。

http://www.nsc.go.jp/info/110323_top_siryo.pdf

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110324ddm012040074000c.html

これによると、放射線の影響を受けやすい1歳児で、原発から30km圏内でも12日間の累計で甲状腺等価線量で500ミリシーベルト(いわゆる実効線量に換算すると25ミリシーベルトなので年間で自然に浴びる放射線量の10倍程度、ただし12日間の値なので、年間分に換算すると単純に30倍して年間で自然線源からの300倍!)、50km地点でも甲状腺等価線量で100ミリシーベルト(年間で自然に浴びる放射線量の60倍程度)の場所があるとのこと。

もっと早く公表されていたら、別の対処法があったかもしれない。

原子力安全委員会は、公表の遅れの言い訳をしている。

「3月20日から陸向きの風となったため、大気中の放射性核種の濃度が測定でき、限定的ながら放出源情報を推定できた」

放射能の大気拡散予測には、気象の情報の他に、放出源情報といって、どれだけの放射能が放出されたかの情報が必要である。それは事故の解析からも推定できるし、また風下の大気中の放射能濃度の実測値からも推定できる。
事故解析ができなかったとしても、3月15日には既に、東京や千葉で大気中の放射性核種濃度が測定されている!よしんば大気中濃度の測定データがなくても空間放射線量率からも予測ができる。空間放射線量率は日本全国でこれまで連続して測定されてきている。

もっと早く予測を行っていれば、もっと迅速な対応ができたはず。国の危機管理の甘さを指摘せざるを得ない。

放射線で、ここまでなら1回で浴びても大丈夫だろうという線量が50ミリシーベルトから100ミリシーベルトくらい。これはこれまで人間に影響が観察されていないという線量だ。大人であればもっと高い線量でも影響は観察されていない。一番少ない線量で影響が認められるのは、胎児に対する影響で、1回の被ばくが100ミリシーベルト以上で胎児の死亡や奇形(医学用語)の子供が生まれる可能性があるとのこと(放射線医学総合研究所の研究者より)。

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