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2011年5月

福島原発事故 事故調査・検証委員会について

国の事故調査・検証委員会の委員長や委員が決まった。委員長は畑村洋太郎氏である。人間がおかした失敗から教訓を引き出す「失敗学」の提唱者である。委員には国の原子力の平和利用を支える放射線医学総合研究所の職員も加わっている。人類の歴史に残るであろう今回の世界的にも未曾有な事故が、その原因を含めさまざまな角度から正しく検証されることを切に望む。

ところで5月30日の日経新聞「経済教室」というコラムに畑村洋太郎氏が「科学技術の役割―原発事故に学ぶ㊤ 最悪時前提に設計見直せ 完全制御志向改めよ 原子力になお未経験部分(以上記事のタイトル)」という記事を寄せている。この記事のポイントは「人間には自分に都合のよい思考をする習性がある。津波など失敗の記憶も時がたつとなくなる。事故が起きても危険が拡大しない設計が重要」といったことである。この記事の中で畑村氏は自身の原子力に対する基本的な考えを以下のように述べておられる「筆者は、日本が原子力を使わずに生きていけるとは思わない。1950-1960年代、日本は電気がほしくて仕方がなかった。世界銀行から借り入れまでして完成させた黒部ダム(黒部川第4発電所)の発電能力は34万キロワット程度だ。これに対し、原発は1基で100万キロワットを超えるものである」。

事故調査・検証報告者は、客観的に記載はされるのであろうが、やはり委員長の基本的な考えが反映されるものであり、このような事故が起きる原子力発電を人類は(日本は)使わないほうが良い、といった考えが誘導されるような結論はまったくでてはこないことだろう。ドイツやスイス政府は脱原発を改めて表明したが、足りない電気は原子力大国のフランスから購入したりしている。リスクのあまりに大きい原子力発電なしでやっていきたいという願望をこめドイツ・スイス両国の今後のエネルギー事情や社会の仕組みや人々の生活の仕方も注意深くウオッチしていきたい。

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福島原発事故 ネットワークで作る汚染地図

福島現地での放射能汚染については、今回は文部科学省などが、比較的迅速に測定データを公開している、と思っていた。だけどそうしたデータが必ずしも現地の人々の役に立っていない。

思うに、そうした測定が生身の人間や生き物への悪い影響の防止を中心に考えられていないからだ。自分の身は自分で守らなければならない、今の日本なのだ。

既にテレビやネットでご覧になった人もいるかもしれないが、これは↓なかなか良いルポタージュだ。

http://vimeo.com/23802781

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日本の今後のエネルギー政策について(1)

ソフトバンクの孫社長からの提言、なかなか良いと思います。1時間程でちょっと長いですが。

http://www.ustream.tv/recorded/14153702?lang=ja_JP

要旨の一部は以下の通り。自然エネルギー利用を増やす、コストは大量生産を進めれば、安くなるはず。20年間、自然エネルギー利用からの電力買い取りを続ければ、技術開発も進み産業として成熟するはず。また自然エネルギー利用について、税制上の優遇措置を与える。反対に現在運転中の原子力発電などについてはそこからの電気利用も含めて税金を高くする。その分の税金は、自然エネルギー利用などの研究や技術開発費用に充てる。原子力発電が安いと思うのは幻想で(原子力発電で発生する放射性廃棄物の最終処理費用や事故リスク担保費用を含めればかなり高いはず:筆者注)、化石燃料も今よりだんだん高くなっていくはず。

ただ話の導入部で、関西の空間放射線量が高いのは、福島原発事故の影響ではなくて、もともと関西地方は空間放射線量が高いのです。これは大地からの放射線について、大地が関東は主にウランなどの放射性物質が少ない関東ロームのせいで低く、関西はウランなどの含有量が多い花崗岩なので高いのです。

私も参加している会員制のSNSサイト「森の365日」でモモンガさんが紹介した、孫さんと2人の原子力技術者との対談↓で、対談相手の技術者が、いみじくも語っている、日本のサラリーマン原子力技術者たちについて、会社の社会は分かるが社会そのものはわからない実態はおっしゃる通りだと思います。こちらは15分程の動画です。

http://www.youtube.com/watch?v=cqiqkr9JKsE&feature=youtu.be

日本の全電力の3割が原子力発電からである。この3割を我慢し、別のエネルギー源を開発し、(原子力発電の3割分までは開発できないかもしれないが、)日本社会を成立させることはできるのでは、というのが孫さんの意見です。

私の個人的な意見としては、現状での自然エネルギーやバイオマス利用は大きなエネルギーを生み出すことは出来ないが、いろいろ知恵を絞って考えれば、さらに良いエネルギー源やエネルギー貯蔵技術を見つけることができるのでは、と思います。またこれまでの電気にどっぷりつかった生活を見直しすることが何よりも必要であり重要と思います。電気は太陽の熱や光、地球の水や空気などと違って、そこに在るものではなく、作り出さなければいけないものです。火力発電にしても、地球の貴重な資源を燃やして、亡くすることで電気を得ています。いずれは無くなるエネルギー源です。原子力も資源のウランを燃やすという点では同じですが、原子力の場合は事故のリスクがあまりにも大きすぎます。さらに原子力の場合にはウランの核分裂で必ず発生する放射性廃棄物をいかに処分するかの問題があります。トイレのないマンションと言われ続けてきました。

ただ現在の現代社会や産業を維持するには大きなエネルギーが必要です。日本は資源のない国なので、技術立国というなら、新しい技術の特許取得なら電気をたいして必要としないと思いますが、製品を大量に作り、産業として成り立たせるにはかなりの電気が必要のはずです。この問題については、また改めて考えてみたいと思います。エネルギーの問題は社会の構造や人間の生活、人生観や地球観と深くかかわっています。

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学校での放射線被ばく基準値(1)

文部科学省が最近定めた学校での放射線被ばくの許容値、屋外で毎時3.8マイクロシーベルトについて考えてみました。この数字の根拠は、年間の積算被ばく線量が20ミリシーベルトというものです。これについては日本弁護士連合会なども見直しを求めています。法令で定める放射線管理区域の基準より甘く、安全性に問題があり、屋外活動制限を受ける学校は教育環境として適切でないという理由からです。

法令で定める放射線管理区域の基準は3カ月の積算で1.3ミリシーベルトを超える恐れがある範囲を放射線管理区域として設定しています。年間ではその4倍ですから積算で5.2ミリシーベルトです。今回文部科学省が設定した年間の積算被ばく線量20ミリシーベルトは、放射線管理区域設定値の4倍の値です。しかも、この数値は、空間放射線量からの外部被ばく線量の測定値に基づいていると思われます。子供たちは実際には、学校で息をし(そこの放射能を含む空気を吸い)、放射能で汚染した水道からの水を飲み、放射能で汚染した食物を給食で食べるはずです。家に帰っても同様な被ばくをします。子供たちは学校の校庭で飛びはね、風で舞い上がる放射能で汚染した土壌の微粒子を呼吸により体に吸い込んでしまいます。これらを合計するとかなりの被ばくをするのではないかと危惧します。該当する学校に通う子供たちは、事故以来、既にそこそこの放射線被ばくをうけていると思われますし、子供は大人より放射線感受性が高いので、この点からも、基準値をもっとずっと低い値に設定すべきです。マスクをしながらかけっこをしたり校庭で遊ぶ子供たちを眼に浮かべたくはありません。

線量の高い地域に住む方々は、子供を中心に考えて、大人も一緒に避難することを考えるべきです。子供とその親や家族が離れ離れの生活など考えられないからです。酷な言い方になってしまいますが、線量の高い地域では、住みなれた故郷を離れ、一刻も早く避難すべきで、子供たちの教育環境を含め、住環境の整備、親の雇用確保など、新しく故郷となる場所で一刻も早く生活が始められるよう国や県が強力に支援すべきだと思います。

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