« 福島原発事故 事故調査・検証委員会について | トップページ | 福島原発事故 放射線を正しく測る(1) 市販サーベイメータの性能比較 »

福島原発事故に関し、放射線の生体影響について(1)

放射線の生物影響について、改めて自分で調べてみました。というのも放射線の生物影響を調べている放射線医学総合研究所(放医研)の研究者から100ミリシーベルト以下なら大丈夫という話を聞いていて、また世の中的にもその基準が蔓延していますが、それが本当かどうか最新の知見を確認したかったからです。そもそも100ミリシーベルト以下なら大丈夫という話は、100ミリシーベルト以上の被ばくでは放射線の影響が見つかっているが、それ以下なら影響は見つかっていない(影響はないという話ではなくて)ということでした。改めて調べると、数十ミリシーベルトまで、放射線の影響が有意に検出されている、というのが最新の知見です。広島や長崎の原爆被ばく者のがん発生等について長年にわたって疫学調査(実際の影響調査)などを行なっている研究者の最新の知見によれば、ヒトのガンリスクが上昇するという良好な証拠があるX線あるいはガンマ線(放射性セシウムやヨウ素などが放出する放射線)の最低線量は、急性被ばく(1回の被ばく)で10-50ミリシーベルト、慢性被ばく(常時被ばく、線量の積算)で50-100ミリシーベルト、ということである。さらに低い線量の影響評価には、直線外挿(直線しきい値なしモデル)が現在のところ最も適切な方法である、というのが、ICRP(国際放射線防護委員会)をはじめ、UNSCEAR(国連科学委員会)などの現在の見解である。

 ところで医療や検査に、放射線がほぼ無制限に使われているが、やはりそれなりの生体影響は発生する、というのがわかりやすい解釈である。

 また人間の体内には、体重が50kgの大人で放射性炭素が約3000ベクレル(1ベクレルは1秒に1本の放射線を出す放射能)程、放射性カリウムも同じくらい存在しており、それらの放射性核種からの放射線もそれなりの生体影響を発生させている、と考えるのが、道理が通る。もちろんこれらの放射性炭素や放射性カリウムは、主に食物を通して我々の体内に常時存在していて、これらを避けることはできません。

 生物はその進化の過程で、こうした放射線に対して防御の機構(放射線により壊された細胞を修復する、もしくは死亡させる等)を獲得してはいるが、完璧なものではなく、修復のプログラムが時には誤ることもあり、こうした場合には細胞死や突然変異などに至るが、それが固形ガンなどにつながることはまれのようである。

|

« 福島原発事故 事故調査・検証委員会について | トップページ | 福島原発事故 放射線を正しく測る(1) 市販サーベイメータの性能比較 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/224066/52173291

この記事へのトラックバック一覧です: 福島原発事故に関し、放射線の生体影響について(1):

« 福島原発事故 事故調査・検証委員会について | トップページ | 福島原発事故 放射線を正しく測る(1) 市販サーベイメータの性能比較 »