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福島原発事故から放出された放射性セシウムの環境中挙動―放射性廃棄物としての処理・処分の観点から―

 

福島原発事故の炉心溶融により揮発した放射性セシウムは、放出直後の化学形はヨウ化セシウム(CsI)や水酸化セシウム(CsOH)といった無機形であったと思われます。大気中を拡散していく過程で、大気中に遍く存在している硫酸塩エアロゾルに付着、取り込まれ、輸送されたと考えられます。↓

http://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/nr20120731/nr20120731.html

放射性セシウムを含む硫酸塩エアロゾルは、乾性沈着(雨なしで地表に沈着)、または雨や雪により地表に沈着(湿性沈着、これをウオッシュアウトと言います)、また放射性セシウムを含む硫酸塩エアロゾルを核として雲や霧が形成された状態では、降水が生ずると大量に地表に落下(レインアウト;これも湿性沈着)します。

 

地表に落下した放射性セシウム化合物は、地表が水を含んだ落葉や植物等の有機物であれば、セシウムイオンの形で存在し、移動しやすいと考えられます。放射性セシウムを付着した落葉や植物等の有機物を集めて乾燥し燃焼すると、放射性セシウムは比較的低い温度(450℃くらい)から揮発します。

一方で土壌に吸着した放射性セシウムは、土壌中の粘土鉱物などに強固に吸着するので、廃棄物として燃焼処理しても、燃焼温度によりますが、それほど多くはガス化せず、焼却灰の中に残ると考えられます。実際の廃棄物はいろいろな物質の混合物なのでしょうから、揮発する成分、焼却灰の中に残る成分がそれぞれ存在するのでしょう。

 

森林などにおいて植物や落葉の上に沈着した放射性セシウムは、降雨などにより、容易に水に溶けて移動し、小川や河川、湖沼に流れ込むと考えられます。一方で土壌に結合した放射性セシウムであっても、土壌の微粒子として、こうした水系にいわゆる懸濁態として、流入すると考えられます。

河川に流入した放射性セシウムは、最終的には海洋に到達するのですが、塩分濃度の高い海水と接すると、その一部はコロイド化して凝集し、海底に沈積すると考えられます。

 

焼却灰について環境省が、放射性セシウムがどれだけ出てくるかの試験をしています。↓

http://www.env.go.jp/jishin/attach/haikihyouka_kentokai/10-mat_3.pdf

この資料のタイトルは「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分」というもので、なかなか良くまとまっていると思います。放射性セシウムの溶出特性、土壌等への吸着特性、焼却処理過程における挙動と制御、埋め立て処分過程における挙動と制御について実験と考察が行われており、一読に値します。

 

上記資料によれば、焼却主灰と焼却飛灰(いわゆるフライアッシュ)を較べた場合、焼却飛灰のほうがはるかに放射性セシウムが溶けだす量が多く要注意です。これは焼却飛灰とは焼却により一度放射性セシウムがガス化し、その一部が煙道等で温度が下がることにより再び灰になった(灰に吸着した)成分であるためで、もともと水に溶けやすい性質であると考えられます。一般廃棄物焼却飛灰はセメントによる固化処理等の有無によらず溶出率は64-89%という結果(上記資料 P20)です。そのため一般廃棄物焼却飛灰は放射性セシウムの含有量が高い場合は、埋め立て処分せず、厳重に保管すべきと思われます。埋設が必要な場合は、埋設処分場の構造について、注意が必要です。すなわち、埋設部の上部には遮水層を設置し、埋設部の下層にはセシウムを吸着する透水層をかならず設置する必要があります。

 

また浸出液等に陽イオンとして溶存する放射性セシウムは、通常の水処理方法、すなわち凝集沈殿や砂ろ過、生物処理、活性炭吸着処理、キレート樹脂処理等の現行の浸出水処理工程では、ほとんど除去されないので、こちらも要注意です。

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コメント

水準の高い解説であり、有用でした。有難うございます。

投稿: K.Miyatani | 2015年4月 7日 (火) 11時02分

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